どこかオシャレに感じるモノクロ写真。今回は、白と黒で表現されるモノクローム(Monochrome)写真の特徴についての話です。
ちなみに、「モノクロ」というと「白・黒」を思い浮かべる方が多いと思いますが、「モノクロ」=「単色、一つの色」という意味なので、例えば青や赤など、どんな色でも1色で表現されていればモノクロといえます。いちおう、今回の記事では「モノクロ写真」=「白・黒写真」として扱います。
モノクロ写真の特徴
モノクロ(白黒)写真は、複雑な色の情報がそぎ落とされた写真。色による表現がなされない代わりに「被写体の形が強調される」「質感が伝わりやすい」といった特徴があります。
被写体の形が強調される
写真を構成する主な要素として「色」と「形」があります。「色」が削がれることによって残るのは「形」だけ。写真内の色情報が無くなることで、カラー写真に比べてモノクロ写真では被写体の「形」が強調されるといった特徴があります。
上の2枚の写真を見比べてみると、カラー写真は建物の色や空の色などに目がいきますが、モノクロにすると、スッと建物の形に目がいくかと思います。
こちらの写真の比較でも、カラー写真は葉っぱの色や形に注目がいきますが、モノクロ写真では滴る雫のぷるんとした形がグッと浮きだっているかと思います。こんな風に、カラー写真とモノクロ写真では被写体の浮きだち方が異なるもの面白い点です。
質感が伝わりやすい
モノクロ写真のもう一つの特徴として、質感が伝わりやすいという点もあります。これもやはり、色という情報が無いことで、被写体の「ざらざら」感や「ふんわり」感などの質感にスッと目がいきやすくなります。
こちらの2枚の写真、いかがでしょうか。カラー写真に比べてモノクロ写真ではふんわりと繊細な印象が強まっているように感じられませんか。
モノクロ表現におススメな被写体
モノクロ写真の特徴を知ったところで、モノクロ表現に向いている被写体を考えてみます。
形を魅せたい・伝えたい写真
モノクロ写真の特徴の一つ目で挙げた「被写体の形が強調される」ということから、形を魅せたい・伝えたい被写体を撮影する時はモノクロ表現が向いています。
模様のように表現したいとき
抽象的な模様のような表現をしたいときにもモノクロは向いているという印象です。カラー写真と違って色に引っ張られず、質感やパターンが浮きだってくるので、“模様”のように表現しやすいです。
霞のある景色もけっこうオシャレ!?
霧などで柔らかい光が一体に広がっている景色はモノクロにすることで、幻想的・神秘的な印象が増します。また逆光も取り入れることで、メリハリも効いてカッコよい写真になる場合もあります。
まとめ(みる人の想像力を刺激するモノクロ写真)
白と黒とその中間のグレー色で表現されるモノクロ写真は、色という情報が無いことで、必然的に見る人に対して“想像すること”を求めます。「この葉の色は何色なのだろう?」「この時間帯は朝なのか、夕なのか?」といったように…
カラー写真は色という豊富な情報量を載せることで情報を「見せる」写真であるのに対し、モノクロ写真は見る人の想像力を刺激し「引き込む」表現と言えるかもしれません。
普段カラー写真をメインで撮るという人も多いかもしれませんが、たまにはモノクロ写真を撮ってみると、普段とは違った面白い引き込まれるような写真が撮れるかもしれません。