肖像を意味する「ポートレート」、いわゆる人物写真のことですね。
人物写真を上手く撮れるようになると、相手にも喜んでもらえて、撮影のモチベーションもぐんぐん上がっていきます。
でも慣れていないと、ポートレート撮影って何をどうすれば上手く撮れるの? と混乱してしまうことも多いはず。また、相手がいるからこそ「上手く撮らないと!」とつい焦ってしまうこともあります。
今回は、「まずはこれだけ気にしてみよう」という5つのチェックポイントをまとめました。
慣れないポートレート撮影でももう大丈夫! 深呼吸してひとつずつポイントをチェックしてみてください。
眼にピントは合っていますか?
「目は人の眼(まなこ)」ということわざがあるとおり、その人がどんな人物であるかは目に現われると言います。
ポートレート写真は、被写体となる人物がどんな人なのかを伝えるための写真です。眼にしっかりとピントを合わせて、その人のことが伝わる写真を撮ってくださいね。
顔が斜めを向いているときは、手前側の眼にピントを合わせてください。奥側の眼にピントを合わせてしまうとピンボケした印象の写真になってしまうので注意してください。
そのシャッタースピードでブレませんか?
意図したブレは、その写真の作品性の向上につながりますが、不意のブレは避けたいものです。
ブレないシャッタースピードというのは、被写体・撮影条件・腕や身体のチカラなどで個人差があります。「このシャッタースピードなら大体ブレない」という自分にとっての基準をあらかじめ把握しておくと、シャッタースピードの設定に迷うことが減ります。
ちなみに僕の場合は、通常は1/125、子どもなど動く被写体の場合は1/250以上に設定することが多いです。
ちなみに、三脚を使って撮影することもブレの防止になります。
背景は整理されていますか?
背景にも意識を向けて、被写体にしっかり目がいくように整理しましょう。
串刺し、首切り、目刺しは避けよう
ポートレート撮影で特にNGとされているのがこの3つ。
背景の電柱や木、窓枠などがちょうど頭の上にきて「串刺し」されているかのように見えてしまう串刺し構図。
背景の水平線や塀、窓枠がちょうど首を横切るように配置されていたり、首のところで写真が切れてしまうような首切り構図。
木の枝のような尖がったものが、ちょうど目の位置にきていて今にも目に刺さりそうに見える目刺し構図。
撮影時は、この3つは避けられるように背景にも意識を向けてみてください。
また、写真が首のところで切れてしまうよりかは、少しカメラを下に傾けるなどして、胸元を写して頭を少し切るくらいの方がバランスもいいです。
ごちゃごちゃした背景はボカすもあり
背景整理には「ボケ」を使うのもありです。
背景がごちゃごちゃしているときは、F値を下げて背景をボカし、被写体がくっきりと浮かび上がるように整理してみてください。
表情に光はあたっていますか?
見せたいところに光を当てて、イメージ通りの写真に近づけてみましょう。
まずは表情に光をあてよう
ポートレート写真の多くは、被写体の表情を伝えるものです。表情にちゃんと光が当たるように、どこからどの方向に光が刺しているか注意深く見てみてください。そして、撮る位置を変えたり、被写体の顔の向きを変えたり、または光の位置を変えたりして、その光が被写体の表情に当たるようにコントロールしてみてください。
逆光だって悪くない! 日中シンクロというワザを使ってみよう
よく「逆光だから上手くとれない」とあきらめる人がいますが、逆光もうまく利用すると良い写真になります。逆光の暗い状態で、外付けストロボやフラッシュなどで被写体に光を当てる「日中シンクロ」というワザを使えば、被写体のシルエットラインも際立った美しい写真になります。
また、光の向きによる特性を知れば、色々なイメージの写真に仕上げることも可能になります。
光のコトについては過去の記事でも紹介していますので、よければ参考にしてください。
コミュニケーションは取れていますか?
ここまで来たら、あとはシャッターボタンを押して撮るだけ。撮る時は、相手のとっておきの表情を引き出すことに集中してみましょう。
撮った写真よりも、撮ること撮られること自体が記念になればOK
写真の出来栄えに加えて、撮影者と被写体がお互いに楽しく気持ちよく撮れたなら、その撮影時の記憶も加わってさらに喜んでもらえる写真になります。
「撮ること」「撮られること」そのものがお互いにとっての記念になるように、いろんな会話・声掛け・アクションをしながら、被写体のとっておきの表情が引き出せるように頑張ってください。
三脚でカメラを固定すればコミュニケーションに集中できる
先述しましたが、三脚でカメラを固定すれば手振れを気にせず撮影することができます。また、構図もしっかり整えてしまえば、いちいちファインダーを覗いて確認しながら撮る必要もなく、顔と顔を向き合わせながらのコミュニケーションに集中することもできます。
風景撮影には多用される三脚ですが、ぜひポートレート撮影にも活用してみてください。
ちなみに、三脚の選び方については過去の記事でも紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
番外編:寄ったり引いたり色んな構図で撮ってみよう
最後に番外編です。ひとつの構図が定まるとついつい、同じような構図で何枚もシャッターをきってしまいがちですが、そこはいったん一呼吸。良い一枚が撮れたなら、さっと頭を切り替えて、被写体にさらに寄ったり、あるいは引いてみたり、はたまた背景や場所を変えてみたりして、いろんなバリエーションの写真を撮れるように工夫してみてください。
さまざまな雰囲気で良い写真が撮れたなら、相手にももっともっと喜んでもらえるはずです。