「現像」とは? 「現像」≠「プリント」です!

Photo & Camera

「フィルムを現像する」と聞くと、「写真をプリントして紙媒体にする」ことを思い浮かべる人もいるかと思います。これ、実は間違いです。

今回は「現像」の話。
写真屋さんでフィルム現像やプリントを依頼するとき「フィルム現像」「プリント」「現像済フィルムからのプリント」など似たようなメニューが並んでいるのは何で? といった疑問が解決するような記事になっています。

「現像」≠「プリント」です

ネットで「写真 現像」というキーワードで検索すると、「写真プリント」「1枚○○円~」といった広告の検索結果が並びます。これは、「現像」という言葉で「プリント」をイメージする人は少なくないということでしょう。

フィルムを現像に出すと、現像済フィルムとなって戻ってきますが、フィルムのままでは見づらく、紙へのプリントも同時に行ってもらうのが一般的です。(いわゆる「同時プリント」)

このため、「フィルムを現像に出す」とは「現像&プリント」と思われるようになり、「現像」=「プリント」と認識されることが多くなったと言われています。

フィルムの現像工程

「現像」という言葉をWikipediaで調べると「銀塩写真において、露光することによって撮影された写真・映画の感光材料を薬品で処理して、画像・映像を出現・可視化させることである。」とあります。

つまり、撮影した写真を見ることのできる状態にまでする、以下の工程がまとめて「現像」と言われます。

1.現像:「現像液」を使って、潜像状態から可視化できるように、像を浮き出す。
2.停止:現像が終わったら、「停止液」で現像を停止させる。
3.定着:銀に還元した感光部分を、「定着液」を使ってフィルムを長期保存可能な状態に像を固定化する。
4.水洗:溶液を洗い流す。
5.乾燥:フィルムを乾燥させる。

現像されたフィルムは「プリント」して紙媒体に変換したり、最近ではスキャンして「データ」に変換したりされます。

写真屋さんで「未現像のフィルムから同時プリント」といったメニューは、フィルムの現像後同時にプリントまで行ってもらえて、現像済フィルムとプリント写真が納品されるもの。
「現像済フィルムからプリント、データ書き込み」といったメニューは、過去あるいは他社で現像したフィルムからプリントやデータ化してもらえるものです。

現像済フィルムを捨ててしまうのはもったいない!

フィルム現像後にプリントやデータ化してもらったから、フィルムは捨ててもいいと思われる方。ちょっと待ってください!

現像済フィルムは、誰がプリント・データ化しても同じ色味や明るさになるというものではありません。プリント・データ化された写真というのは、その時に写真屋さんが選択した色味や明るさなだけであって、例えば依頼する写真屋さんを変えれば違った仕上がりになることは往々にしてあります。仕上がった写真をより自分のイメージに近いものに仕上げたいときも、フィルムから再度色味や明るさなどを選択(調整)してプリント・データ化するということになるので、フィルムが必要になります。

また、データ化についても、例えばL判相当としてデータ化し、それを後からA4判でプリントしたいとなった場合は、そのデータからプリントしても粗い写真となってしまいます。フィルムから改めてA4判相当でスキャンしてデータ化(または直接A4でプリント)することで適正な画質でプリントすることができます。

このように、フィルムから得られるメリットはいくつかあり、いったんプリント・データ化してもらったからといって、フィルムを捨ててしまうのはもったいないと思います。

まとめ(現像済フィルムを様々な写真店でプリントしてもらうのも面白い)

「現像」≠「プリント」ということ。写真屋さんに並ぶ「フィルム現像」「プリント」「現像済フィルムからのプリント」といったメニューの違いについてわかっていただけたでしょうか。

現像済のフィルムについてのひとつの楽しみ方として、同じフィルムを様々な写真店でプリントしてもらうといのも面白いです。同じフィルムから生み出されるプリント写真の違い(各お店の味)を比べてみると、自分が撮ったフィルム写真についての新しい発見につながるかもしれません。

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